ダイテック繁本代表が
目指す未来

「by ダイテック」を世の中へ

社長・繁本が見てきたダイテックのこれまでの歩みとダイテックが目指す未来とは...。

代表取締役社長 繁本 明彦

1985年大興に入社し、マニュアル制作部門の立ち上げに従事。1987年大興からマニュアル制作専門として分社化されたダイテックへ。創設メンバーとなる。自動車整備書のテクニカルライターとして活躍した後、DTP部門の立ち上げやシステム開発部門の責任者を経て2002年には取締役に就任。2010年常務取締役となる。2015年にはダイテックの代表取締役社長に就任。また大興上海の董事長も務める。

プロユースのマニュアル制作を手がけるダイテック

ー 株式会社ダイテックはどんな会社ですか?
繁本:マニュアル制作事業を中心とする会社です。世の中的に半分ぐらいは自分たちでマニュアルを作るのではなく、マニュアル制作会社に依頼をして作ってもらっています
我々は制作会社の一つとして、色々なメーカーさんから依頼を受けて代わりにマニュアルを制作し、それがユーザーの手元に届けられるというような仕事をしています。

ー 『マニュアル』というと家電などのマニュアルをイメージしたのですが、どのような領域のマニュアルを作っているのですか?
繁本:我々がやっている仕事は皆さんが普段あまり見ないような製品で、例えば工場の中で使われているような機械とかですね。そういった専門的な製品を対象としたマニュアルが多いです。プロユースのマニュアルというか、プロフェッショナルの方が見るマニュアルを作っているのがダイテックの特徴になるかと思います。

ー 最近は物を買った時に紙のマニュアルが入っていないことが多いと感じますが、マニュアルもデジタル化が進んでいるのですか?
繁本:最近はマニュアルを見なくても使えるような製品に近づいてきました。例えば、洗濯機は「ボタン一つ押せば洗濯が始まる」すごく便利になっていますよね。

ー なるほど、ニーズが変わってきているんですかね。
繁本:そうですね。製品は進化をしてどんどん使いやすくなる。その一方で、自動車を例に挙げると、非常に自動車の機能が増えています。例えば、自動的にブレーキがかかる仕組みがあるとかですね。そういったハイテクというか、デジタル領域がどんどん製品に入り込んで、修理をするのが難しい製品がどんどん増えています

ー 製品を使う人ではなく、修理する人にマニュアルが必要ということなんですね。
繁本:そうですね。そちらは不可欠というか...。マニュアルが無いと修理できない製品もあります。故障した時に復旧しなきゃいけない、場合によっては修理しなきゃいけない時に手がかりになるのがマニュアルというツールになるので、これは非常に重要なモノと言えると思います。

ー ダイテックが制作するマニュアルのうち、製品マニュアルと修理・産業用のような表に出ないマニュアルの割合はどのくらいですか?
繁本:ダイテックの場合、8割は表に出ないプロユースのマニュアルです。残りの2割がBtoCの製品マニュアルのため、作っているものは専門的なマニュアルが多いと思います。

マニュアル制作を軸に多角化する事業

ー マニュアル制作以外の事業についても教えてください。
繁本:マニュアル制作は最初は日本語から作るケースが多いのですが、ほとんどの製品は海外に輸出される、もしくは海外市場の方が主力のメーカーさんが日本には多いんですよね。そうすると、日本語から英語、英語からフランス語・ドイツ語・スペイン語という、そういう道を辿っていくわけですよね。輸出する相手の国に合わせてマニュアルをローカライズすると言いますが、マニュアル制作から翻訳に発展し、現在は翻訳も一つの事業となっています。また、車を修理する場合に部品の交換をしなければなりません。その部品を交換するためには部品のカタログや部品リストが必要になりますが、それも我々がメーカーさんから依頼を受けて作っています。そういったパーツリストの作成事業と翻訳事業がマニュアル以外のダイテックの主力事業になっていると思います。

ー 最初はマニュアルからスタートしていながらも、派生してどんどん新しい事業になっていったのですね。
繁本:そうですね。最初に我々がマニュアル制作を始めたのが1985年ですので、40年近く前の話になりますが...。当時は原稿を紙で作って、印刷会社さんに原稿を渡して、印刷会社さんがタイピングをしていました。1988年〜1989年くらいにマッキントッシュ(Mac)が入ってきて、自分たちで作った原稿をパソコン上で編集できるようになったんです。それから我々でいうDTP(デスクトップパブリッシング)というような仕事も増え、逆にそれを使って今度はもっと自動化をしたいというニーズが出てきて「システム開発をしよう」と。そういったものに繋がっていきました。

ー 時代の流れを汲み取りながら変わっているわけですね。
繁本:現在はマニュアルも紙だけではない時代なので「スマートフォンでマニュアルを読みたい」「タブレットで見たい」といった声も増えています。スマートグラスというメガネ型のデバイスがあるのですが「作業現場でスマートグラスをかけると、マニュアルの情報が出てきてハンズフリーで作業できる」これを実現するためのコンテンツも作っています。

ー それって未来の話じゃないんですか?
繁本:もう現在になっています。当然工夫は必要ですが、それに合わせたコンテンツを我々も作っています。今はチャットGPTが話題になっていますが、困った時にスマートフォンに質問を投げかけると答えてくれるといった会話型のマニュアルも開発を進めていまして...。まさにデジタル社会に合わせたコンテンツが必要な時代になってきています。

ー 想像を超えていました...。
繁本:コンテンツというのもテキストだけではなく、場合によってはグラフィックや3Dのデータの活用もしています。技術もどんどん進化していますので、見せ方が変わってきたということで、マニュアルの作り方も変わってきています。さらにインターネットがこれだけ普及してくると全世界がブラウザを使って様々なマニュアルを見ることが当たり前になってきていますので、我々が出発した時点とは随分変わってきている気がします。

株式会社ダイテック誕生まで

ー ダイテックに入社した経緯を教えてください。
繁本:1985年に大興という今のダイテックの親会社に入社しました。大興は機械設計をする会社で、分かりやすく言うと工場の中に入る設備や産業機械の設計をしていました。当時は100%設計をやっていましたが、地元の自動車メーカーさんから「人材が足りないため、大興にマニュアル制作を依頼できないか」という話がありました。ただ、マニュアルを作ったこともないですし、皆さん設計しかわからない方でした。さらに、マニュアルは英語でも原稿を作成するため、英語のスキルが必要な仕事でした。そこで人材を募集しようということになり、今の大興が募集をかけた際に私が第1期生として入社しました。
当時は大興の機械設計の中に「新しくマニュアル部門を立ち上げよう」ということで、部門は作ったが人がいないという、ゼロからスタートでした。

ー 入社した当時はおいくつでしたか?
繁本:26歳の時ですね。英語を使った仕事に関わりたいという思いもあり、自分に合っているんじゃないかなと。そんな思いで入社しましたが、誰もマニュアルのことをやったことがないと言われて。「とにかくメーカーに入ってくれ、メーカーの人が教えてくれるから大丈夫だ」と。若かったので不安半分、怖いもの知らず半分でしたね。
メーカーさんの中では本当にいろいろ親切に教えていただいて、メーカーさんの方と一緒にマニュアル作りをやらせていただいたのがスタートになります。

ー その後2年で分社ということで、すごいスピード感ですよね。
繁本:バブルの始まりの頃だったので、メーカーさんも車づくりを広げていらっしゃって、マニュアルを作る部隊は全然足りませんでした。とにかくその当時はたくさん人を入れてマニュアルを作ってほしいと。仕事もどんどん来るし、事業も大きくなるのではないかという我々のグループ会社の会長が「これは独立したほうがいいんじゃないの」と。分社化しようと2年で決めたんですね。それが今のダイテックという会社のスタートです。我々が会社を作った時はまだまだ素人集団だったのでノウハウがなくて、メーカーさんに教えてもらわなくてはいけませんでした。そんな時に、当時愛媛県でマニュアル制作を先駆けていらっしゃった会社が協力をしようと言ってくれたんですね。愛媛から5人の社員の方に、広島に来ていただき、その方々と一緒に会社を立ち上げました。
このダイテックという名前も、協力していただいたテクニカさんという会社の「テク」を取っているんです。会社が設立する時からアライアンスがあり、そういう力があってこそ立ち上がることができました。

ダイテックに訪れた転機

ー 自動車整備書のライティングを5年程した後に、DTP部門を立ち上げたとありますが...。
繁本:メンバーが増えてマニュアルの原稿作成をするようになり、その後の編集工程まで自社でやろうということになりました。そうすると編集する機械も必要になりますし、それを使う社員も必要になる。これがまたゼロからの立ち上げでした。
当時のパソコンは、処理スピードが遅く、重いデータの処理ができなかったんです。ただ、テキストだけを打ってレイアウトはできたので、そこに四角い枠を作ってとりあえずプリントアウトして。イラストは前に作ったマニュアルからコピーをして、ハサミで切って貼り付けて、それを印刷会社に渡して印刷をしてもらっていました。文字の修正が入ると、またイラストの場所が変わったりということが繰り返されるんです。スプレーのりを使ってイラストを貼り付けるので、オフィスの中がスプレーの匂いが充満して...。そんな世界でずっとやっていましたね。

ー 1993年から2001年までDTP部門とシステム開発部門責任者としてやっていたのですね。
繁本:手作業で作業をしていたので、人海戦術でした。たくさん仕事が来れば、それだけマシンと人を用意しなければならなかったのですが、コンピューターが進化してきて、ワークステーションのようなものが出てきて、さらに画期的な技術が生まれて...。
コンピューターで自動的に編集することが出来る時代が、2000年より少し前ぐらいから始まり、レイアウトを自動的にできる技術を取り入れました。そうすると、5人でやっていた作業をコンピューターが全て自動でやってくれるため、画期的な世界になるんですね。
やはり先進的な技術を取り入れなければいけないと思い始めました。そのためには、海外から生まれたマークアップランゲージの言語を抑えなければならない。ただ、日本では知識がある人がほとんどおらず、数名の方がようやく入門編の本を作れるような状況でした。「これをやるなら海外で情報を取らなければ」ということになり...。1995年だったと思いますが、シンガポールの技術者が集まるカンファレンスに行けば技術が学べると分かり、技術者とシンガポールに行き、開発者とも会いました。色々な技術を取り込んでいる企業さんとお話をして、色々なことが分かったということがありましたね。

ー 今はhtmlがかなり主流になっていますが、当時は先駆けとして使い始めて...?
繁本:その時にシンガポールに来ていた日本人は6名しかいなかったんです。そのうちの2人が我々だったので、当時我々は最前線にいたと思います。
それがきっかけで、日本で自社開発をどんどん進めていって、2000年の少し前にはオリジナルの処理システムを開発できたというのが次の転機になっていきました。

ダイテックのこれから

ー 今、一番大事にしていることは?
繁本:社会の流れも気になりますし、お客様のニーズ・求められているものも変わっていますので、そこに我々が対応をしていかなければならないというのが一番大事なことだと思います。設立時からやっているマニュアル制作を土台にしながら、今の時代に合わせたものを作っていく。現在はデジタルコンテンツ制作や、人材育成のための業務マニュアル制作も行っています。
特に人材育成は非常にニーズが高まっています。人材が入ってきたら、教育が必要ですし、外国人労働者が来れば、外国人労働者を教育するためのマニュアルが必要になりますよね。ここに我々のマニュアルづくりのノウハウが役に立っているというのが、今感じるところです。

ー これからダイテックには何が求められると思いますか?
繁本:日本には良い技術があってベテランの方の頭の中にはすごく良いものが詰まってますが、その方が退職されるとその「ノウハウが消えていく」とよく言われるんです。だから今、それを形にしておかなければならない。そのためにドキュメントにする。
もう一つは、機械がどんどん複雑になってきて、故障したり不具合が起きた時に「すぐに修理できない」「すぐに原因が突き止められない」という製品がたくさんあります。いち早く機械のダウン状態を早く復旧させるためのマニュアル、診断して復旧を助けるツールが必要です。最近は「この機械であればどうやったら早く処理できる」というのをAIに回答させる、そんなニーズが非常に高まっています。そこはIT開発というか、マニュアルの域を少し超えていますが、我々としてはそこは繋がってるというかですね...。その領域はまだまだ需要があるように捉えています。

ー マニュアル制作において、人間が使いやすいように「人間のために」というところをすごく大事にされているんですね。
繁本:DXによる自動化でプロセスは改善されるかもしれませんが、人の行動変化につなげるのが本当のDXだと考えていて...。IT企業とは少し違う意味でのDX支援をしているんじゃないかなと思っています。

ー それがダイテックさん流のDXですね。
繁本:我々の仕事は基本的に人間がする仕事です。コンピューターよりも人間が中心で、社員が一生懸命マニュアルづくりをしていて、ナレッジで我々は仕事をさせていただいています。それをデジタルと融合させると「こんな世界が生まれるんだよな」というのを一生懸命考えています。これから『by ダイテック』というものをたくさん作っていきたいですね。

プロユースのマニュアル制作を手がけるダイテック

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マニュアル制作を軸に多角化する事業

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株式会社ダイテック誕生まで

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ダイテックに訪れた転機

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ダイテックのこれから

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